サントリー12年もの飲み比べ

サントリーブラザーズ

 シングルモルト山崎、白州、そして山崎蒸留所の樽出原酒シェリー樽熟成。それぞれ12年ものです。ニッカの余市と宮城峡は本当に個性の全く違うウイスキーでしたが、このサントリーのふたつ、山崎と白州も、も結構個性が対照的でした。白州は随分とすっきりした飲み口なのですが、後から柔らかくチョコレートのような甘みが広がってくる。山崎の方がより複雑な味わいのように感じます。こちらには件のミズナラ樽で熟成させたモルトも入っているそうです。僕などにはそうとハッキリは判りませんが、このちょっとのことが日本的な味わいを醸し出しているということで海外で高く評価されているようですね。「らしさ」が出るのに20年とか30年とかかかってしまうというこのミズナラの個性を前面に出したものを出して欲しいなあと願望する訳です。「お寺の香りがする」というモルト。バー・ハーバー・インのマスターは何かのイベントで飲まれたことがあると仰ってました。曰く白檀の香りのよう、と。イチローズ・モルトが出したミズナラフィニッシュが一瞬で売り切れてもう手が出ないという現在、頼みの綱はサントリー。でも、現実味は薄いことは百も承知です。価格も高くなるでしょうし、そもそもミズナラ樽自体が少量しかないと思いますから。白州はもう少し熟成の行った18年を是非飲んでみたい。これはバーに行けばありつけるでしょう。
 シェリー樽熟成は、これはシェリーの個性が強く他と比較するまでもありませんでした。比較するなら、よそのシェリー熟成のモルトと飲み比べる方が面白いでしょうね。そうそう、もう1本、山崎蒸留所限定というシングルモルトがあります。こちらは熟成年数も何も書いてなく、ただ117710というナンバーだけがラベルにあります。これって樽番号? まさかね。で、これ定価から見て実はあんまり期待してなかったんですが、なかなかどうして結構美味しい。とても柔らかくてとても甘い。クリアで上品な甘さです。そのぶんアタックは弱いですが。この甘みはちょっとキリンの富士山麓シングルモルトの方ね)と通ずるものが。普段飲みによさそうだけど、酒屋では手に入らないのがチと残念。