父は今日入院

 検査入院なんですが。型通りの癌検査。病気は癌ではないんです。でも今はなんでもまずは癌検査から入るようで。検査とはいえ明日には手術をするのですが、それはほんの短時間で終わるもののようです。さっさと肝心の患部の手術をしてしまって欲しいというのが本音のようでした。それはそうでしょう。治療以前の「念のため」検査だけで4日間も入院していては、個人で仕事をしている者にとって死活問題ですからね。
 仕事帰りに見舞いに行ってきました。早速に妻や妻の母なども来てくれてたようで「みんな来た」と喜んでいました。父はつい最近、ほとんど真っ白だった髪を生まれて初めて黒く染めたばかり。その黒い前髪が垂れた額を見ていると、写真で見たまだ僕が幼かった頃の父を思い起こさせます。とても病人という感じがしません。「心配させて済まんなあ」と言われて「いや、全然心配してへんねんけど。どうってことないやろ」と返しました。それは本心です。ほんの数分の見舞いでした。
 かすかに降っていた雨がとっくに上がっているのにも気づかず傘さしたまま家まで歩いていましたから、やはりいくらかは頭が亡羊としていたのかもしれません。