よくぞ言って下さった

 わかって下さってる方もおられるのだ、と思いました。一部省略してもまだ長いですが、ご一読頂けると嬉しいです。
 しかし、お上はこれを読んだってなんにも思い返してはくれないでしょう。何故なら、政治家にとってこの一連の「教育改革」とやらは、①「上見て暮らすな下見て暮らせ」大作戦。行政への不満から目を逸らさせるために生活弱者同士を睨み合いさせるのが目的。そのために下級役人を生贄にして、いかにも「行政改革やってますよ」とポーズを作っている。②教員総「イエスマン」化作戦。説明ご不要かと。③若者の「総木偶の棒」化作戦。国の将来を担う若者を、自立意識ある人材に育てようなんて考えは毛頭ないんです。何も疑問を持たずお勉強をよくする一部のイエスマン・エリートと、その他大勢のなんも考えん人がいいだけのあほな有権者になればいいと思ってる。どうにでもコントロールできるためにね。
 おっと、興奮しました。以下、引用文お読み下さい。


 法律上終身有効を前提に取得している教員免許証の更新制度の新設は一種の「詐欺行為」である。不思議なことにマスコミも問題視しないが、同じく法律上終身有効である弁護士、公認会計士、医師、歯科医師などの資格も有効期間10年にしたら、これらの有力団体もマスコミ界も騒然とするであろう。
 質が問題視されているが、ほぼ110万人もいる教員の「プロ集団」のなかで問題のある教員は、はたしてどれくらいいるのだろうか。(中略)しばしば自己の家庭生活を犠牲にしながら教育に専念している。最近では過労や問題児・問題父母の扱いなどに苦悩するあまり数千人の教員が病気休暇中であると言われている。これ以上教員を締め付け、精神的に不安定にする必要がどこにあるのであろうか。(中略)
 一部政治家の権力欲や「実績」作りのためだけに性急な判断で改変するのは百害あって一利なしである。(中略)授業をあまり担当しない副校長、主幹、指導教員などを増やし、平教員を指導(監視?)する根拠がどこにあるのか。
 新人教員は、(中略)あまり意味のない研修会に参加したり、その報告書を作成したりで忙殺されている。
 (中略)このような30時間の講習よりも、教員それぞれが日々自己の専門分野以外に一流の文学・哲学・思想・芸術作品などに触れ自発的に研鑽し、論文でも書くほうがより実り多い。
 そのためには夏季休業日などには十分な自宅研修や海外研修を認める必要がある。そうして十分に充電した教員が日々燃えるような情熱をもって教育に従事すれば、生徒も刺激・啓発されるであろう。(中略)もちろん、学校には研究などあまりしないが何となく人間的魅力のある「ちょい悪」教員がいてもよい。
 とにかく、仕事や雑用で忙殺されて両親が毎日いらだっている家庭では立派な育児・子育てが難しいように、とくに小中の教員を追い詰めてはいけない。なおさら、免許更新制などで「脅迫」するような教育行政は日本の教育にプラスにならない。学級定数を減らし、すべての児童・生徒に十分目配りできるようにするのが先決であろう。
朝日新聞 2007.04.17「私の視点」より 「教員免許更新 性急な判断で追い詰めるな」元防衛大教授(英語教育学)大西駿二)