神戸のバー

bar main maltでの3本 暗いですね

 行って参りましたよ。
 まずはbar main malt。バックバーのみならず店内の壁全面にダ〜ッと並んだボトルの数々がまず壮観。初めて入ったので緊張していたがマスターはえらく気さくな方で、早速につまみの小皿に加えちっちゃなサンドイッチまで出して下さった。早い時間なので他のお客さんといえば常連さんがほんの数人。そちらの方に「猪を持ち上げようと思ったら・・・・」なんてお話を披露されている。「さて・・・・」と思ったが、まずは飲んだことのないスペイサイドのオルトモアをお願いしてみる。と、「えらいまた変わったもんを!」。やっぱりマイナーらしい。「オルトモアなんか頼んだら、『妙なことを言う』みたいな顔されるか『すいません、今置いてません』て言われるかでっせ」と仰いながら12年のスタンダードを出して下さった。「最近のはあんまり美味しないんですけどね。でもいきなりとんでもない値段の古いのんもお出しでけへんし」僕の座った席のすぐ近く足元に、一番高価なオルトモア、というのがあった。ドイツの市場でずっと頼んでたのが予算ぎりぎりの5万ちょいで手に入ったもの、とか。ショットで8000円になるそうです! 出してもらったので僕には充分美味しく思えましたが・・・・。次にモートラック。スペイサイド飲んだことないもん特集や! マスターは「モートラッハ」と発音されてました。「最近のんではこれが美味しいですよ」とボトラーものらしき89年のボトルを出して下さった。樽出しで度数が高いですが、と教えて下さったので割り水も頂戴する。まず生で舐めて、それから加水。こいつは旨い! とっても複雑な滋味の中から甘みが広がってくる。これ覚えておこう! 次に目の前にあったベンリネスの12年。「今日はマイナー特集ですなあ」「え、そうなんですか?」という会話。うちに17年の小瓶がありますが、まただいぶ味わいが違いました。これだからやめられん。
 「最近は黙っとったらアイラばっかり注文しよるさかい」あえてアイラのモルトには力を入れていない、と仰るけれどもそこここにちゃんとアイラのええもんがズラリ並んでます。この品揃えはちょっとえげつないくらいです。はしごするつもりだったので1時間ほどで失礼しましたが「こんな偏った店でよかったらまた是非いらして下さい」と名刺まで頂きました。ほくほくです。
 次がbar keith。歩いてすぐです。蕎麦屋「堂賀」のすぐそばなので、あちらで蕎麦喰ってから流れてくるというのもアリですなあ。入ってみるとこの時他にお客さんはおられず、マスター独占状態に。こちらは静かな、真面目な感じの方。店名のkeithはスコットランドの町の名前からですか、と伺うといろいろ教えて下さいました。一杯目思い切ってタリスカーの25年を頂きましたが次には店名にちなんでグレンキースを。家にスタンダードの10年ものがあるのですが、なんでも今グレンキースは蒸留を止めいてるそうでこのスタンダードのが稀少品になるかも、と。ここではボトラーズ(G&M)のを頂きました。熟成感はもうひとつですが、すっきりとしたこのお酒らしい味。するとこのグレンキースを使ったパスポートというブレンデッドを出して来て下さったので「比べ飲みしていいですか」と申し上げるとハーフで入れて下さいました。良心的だ! こちらも切れ上がりのいい飲みやすさ。マスター曰く珍しいモルトなんかだったら近くにあるbar main maltというお店がピカイチで関西でも屈指だと思うが行かれたことはありますか、と。今行ってましたと言えず「一度だけ」と答えてしまいました。嘘ではない。で、こちらのお店では最近は古いリキュールに力を入れておられるとのこと。確かにカウンターに並んでるのは古めかしい瓶のリキュールばかり。では〆に何か勧めて下さいとお願いしで出して頂いたのが60年代のもので日本には5本しか入っていない、という代物。これが! もちろん甘いのですが何か懐かしい風味。そして上品!(なんとこいつがこのお店では上限のショット五千円という品でした。ハーフで入れて下さったので助かった?)「これもアリでしょ?」とマスターにっこり。確かに! そこでお勘定お願いしたら、「古いリキュール飲んで下さったお客さんには勘定の間に試してもらってるんです」と、さっきリキュールを空けたグラスに冷えたジンをたらして、そのグラスをぐるぐるやって出して下さった。グラス壁に残ってただけのリキュールがほんのりと色を滲ませ、絶妙の甘みをジンに添えてくれてます。これもまた旨い! 古い、しっかりしたリキュールでないとできない芸当だそうです。
 バーはまだほんの数えるほどしか行ってませんが、本当にお店によって全然違いますね。楽しい。これからバー通いできるような身分ではないのですが、早い時間に立ち寄って、軽く飲んでサッと引き上げる、たまにはそんなこともしてみたいものです。
 三宮なのでなかなか友達を引っ張ってこられませんが、どちらも飲み友達に是非一緒に来て欲しい店でした。