ご意見をお聞きしたい

日本国語大辞典第二版 欲しいなあ

 この話題と、もうひとつあるのです。是非お考えをお聞かせください。お願いします。
 今日のは。
 いわゆる電子辞書というやつのことです。僕もひとつ欲しいなあ、とも思いつつまだ買っていません。いろんな種類の辞書が入っていて大変便利なようです。
 ウチの職場では、英語科の方が推薦機を選んで生徒に買わせています。それで先日雑談レベルながら、教務の方から打診があったのです。国語の方で導入検討について話し合ってみてくれないか、と。どうせ生徒に買わせるのであれば、英和・和英だけでなく国語・古語・漢和も併せて推薦すれば、一括購入と同じことで生徒の経済負担も軽くなるし、ということです。
 実は当国語科では、新入生には国語辞典は買わせてますが、古語・漢和は推薦図書を紹介するに止め、購入を義務付けしていません。何故かというと授業で充分に活用させる余裕がないからです。ただでさえ古文・漢文に時間が殆ど割けない状況下、授業の時間の中で辞書を引かせる物理的余裕がほぼありません。ところが、本来辞書引きなどは授業の準備段階として自宅学習で行う範囲のものですが、ウチの場合ですと自主学習に期待できる部分が現状ですとほぼゼロなのです。授業中にさせない限り殆どしません。授業中に「はい、じゃ今からちょっとやってみて」と言ってもぼうっとしているだけで絶対やろうとしない子が相当数。辞書引きに限らず、そういう種類の課題を出すと状況は同じです。指導力の問題もあるのでしょうけれど。
 こんな状況ですから、電子辞書を生徒に勧めるという気持ちは判らないではないんです。電子辞書ならまだ触ろうとする子の率が上がるんですね。与えた課題に使っているかどうかは別問題ですが、面白がってどんどん使う子もいます。全く引かないよりはいいだろう、ということです。
 でも僕はやっぱり違和感があるのですね。学校で生徒に勧める種類のものなのだろうか、と。いつもどの国語の科目を担当しても、年度当初に必ず生徒にする話があります。これは講師の時代からほぼ変わっていない。だから卒業生の皆さんの中には覚えている方もおられるかもしれませんが、その中で、「辞書を引け」ということも言うんですね。国語の力をつけるために是非やるべきことのひとつとして。それも、紙の辞書を引け、と。電子辞書の便利さを否定するものではない。時間を合理的に使うというのは大切なこと。でも、こと何か「力をつけたい」というときには、やはり面倒くさいことをやらないといけない。何だってそうだと思うんです。便利さが、如何に人間の能力を体から奪い続けてきたことか。だから、ちょっとでも言葉の意味で「?」と思ったときには即辞書を引く。字が判らなかった時も携帯電話で変換して見るのではなくて辞書を引く。紙の辞書を引く。電子辞書と違って紙の辞書なら開いたページ一面に、自分が調べようとした言葉とは関係の無い言葉も並んでいますが、そういうのに目を逸らせるのもまた大事なんです。学生の頃、調べものをするのに何冊も何冊も本を借りては調べ借りては調べし、長時間費やしてやっと目的の本・目的のページに行き着いたものです。今ならネットでもなんでも、データベースにアクセスすればたちどころに無駄なく目的の情報に辿り着きますが、実はあの延々無駄にしたと思える時間と手間に、「学問」の大切なエッセンスがいっぱいちりばめられていたと思うのです。こういうことを「一番大事なこと」として話し続けてきた人間です。生徒に電子辞書買わせろ、と言われても無理です。
 まあ簡単に「個人的には反対です」というようなことは申し上げておいたのですが。その先生も横におられた業者の方も「いや、個人的には私もそう思いますよ」と仰ってましたが。
 さて。僕がアナクロなだけなのか。わかんなくなってきました。どうか、忌憚ないご意見をお願いします。