ちいさなお店

貰ったのはパンプキンケーキ

 自宅から徒歩2分圏内に、ケーキ屋さんが3軒もある。梅田や三宮に出たときによく手土産を買う、あるいは仕事帰りなどに自宅最寄り駅に着いてからそこで時々ケーキを買って帰るのだけど、結構高いもんでひとつ4〜600円くらいする。ところが家の近くの小さなお店で買えば300円代、下手をすると200円代で買えてしまう。そりゃ有名なお店のケーキは凝ってるし洗練もされているけれど、近所のお店のケーキだって決して負けているとは思わない。僕はむしろ、こういう個人でやつておられる小さなお店が好きだ。つい応援したくなる。
 職場には食物文化系列というのがあり、卒業とともに調理師免許が与えられる。入学者の多くがこの系列を希望するが、規定により年間40人までしか選ばれない。最近ではいわゆる「パティシエ」に憧れて入ってくる子が多い。子どもらしい夢だなあと思うが、はやりということもあり、現実世界では既にパティシエは飽和状態と聞く。
 今日は終業式で、クラブや懇談のない子は年内顔を見るのは今日が最後だ。隣のクラスの女の子が、クラスの担任の先生と僕に、と、手作りのケーキを持ってきてくれた。食物文化系列に入ることが決まっていて、パティシエになることを目標としている子だ。パティシエになりたいと言っても、結構多くの子が夢見るばかりで実際におうちで作ってみたり、ということはあまりしていない方が多いけれど、この子は本当に作るのが好きなようだ。前にも一度不意に手作りクッキーを貰ったことがある。とてもおとなしい子で、実は殆ど会話もしたことがないが、とても真面目に授業には取り組んでくれている。クリスマスの差し入れということで、とっても嬉しかった。
 彼女がどんな目標を描いているのかは知らない。けれど、彼女のような人が、地元の人たちに愛される、小さなかわいいケーキ屋さんを作ってくれたらいいのにな、と、願ってやまない。