優しくないっつってんのに

 いまだに僕を「優しい先生だ」と思っている生徒がいる。
 期末試験が終わり午前中の短縮授業になっている。午後は教科担当の裁量で成績不振者に対する補習ができるようになっている。手厚い学校なんである。数学の先生が点数の悪かった子を各クラスから指名してしごいてくれているのだが、生徒の反発が尋常じゃない。中には「誰が行くか」とエスケープする者も。これが優しさであることをいくら説いても判らないらしい。いや、逃げているだけなのだろうけれど。
 僕は成績不振者に課題を出したり、集めて補習をしたり、といういことはやらない。一生懸命頑張ってるのに点数につながらないという子は別だが(そういう子はちゃんと評価されるように成績のつけ方もテストの作り方も工夫してるつもりだが)、ちゃんと欠点にならないように作ってるテストで点は取らない、授業には参加してこない、提出物は出さない、言うことは無視。そんな生徒にくれてやる点はない。年間を通して「自力で点を取れ」ということは言ってある。俺は「下駄」は履かせないぞ、と。学期や学年の最後になってちょっとその場だけしんどい思いをさせて、それで一年間地道に頑張ってきた子と同列に評価しようなんて、真面目な人間に失礼だ。と思うから。
 そういう教員に比して、熱心に課題や補習を与えてくれる先生の方こそが優しいのだ、と言うのだけど。まだ判らないらしい。このご時世。僕のような手法は、最終的な点が出てから家庭から苦情が出ることも予想される。それでも節を曲げるつもりはなし。評価の仕方はいつ誰に聞かれても明確に答える用意があるし、最終成績が出るまでにさんざん警告はしているのだ。
 でも、どうにも響かない。届かない指導は変えて行く必要もあるのだろうけれど。本当に「斬られて」みないと実感できないのかな。卒業のかかった3年生でも平気で落とす、て言ってるのにさあ・・・・。