機会が増えるのはいいことだが

まあ相談には乗るよ

 編入試験というやつについての、一般論としての私見です。
 編入試験というのは、いったん入学した学校から、途中で別の学校に移りたいという生徒のために行う試験ですね。最近編入試験は門戸を広げようという方向のようです。いろんな事情があって一度入学した学校から転学したい生徒への可能性を拓く、という建前は勿論歓迎すべきことなのでしょうが。遠隔地への一家転住その他どうしようもない事情がある場合は、できるだけ前向きに考えてあげるべきだと僕も思うのです。面倒を遠ざけたい、などという発想はありません。が、そうではなく、一度自分で決めて入学した学校が「自分には合わない」ということでそこを出て別の学校に編入したい、というのは、多くの場合実情はただの逃げでしかないと思うのです。
 どんな経緯があったにせよ、最終的に自分で決めたことに最後まで責任を取って、自ら活路を見出せるよう頑張るくらいでないと、特にたかが高校くらい、どこに移っても結局また同じことの繰り返しになるだろう、というのが、決して長くはない経験上から僕が考えることです。実際そういう生徒はいます。みんなひとが悪い、と言う。学校が悪い、先生が悪い、友達が悪い。みんな自分には何もしてくれない、自分には合ってない。そんな台詞吐く前にお前はどれだけの努力をしたのか、と僕など思ってしまう訳なのですが(僕が直接対峙した際には実際本人にも保護者にもそのように申し上げる訳なのですが)。進学でも就職でもそうです。特に就職して、すぐ辞めて来る子が大変多い。やっぱり「自分には合ってない」ということを言います。どこの世界にあなたのために両手を広げて待ってくれている社会があるか。全部自分次第のことで、いまある環境の中でどれだけのことが自分にできるか、ということ以外には何もありません。厳しさ覚悟で上を目指し続けるのと、現実から目を逸らした夢ばかり見て自分に都合の良い環境を夢想するのとは全然別のものです。学校というのは結局そういうことを納得させていく場ではないかと思うのですが。世間体第一で当たりの優しい「多様化」など、実際の教育と無縁の単なるコマーシャリズムにしか過ぎないというのが現実的なところでしょう。
 お上の方でもう少し筋を精査していただかないと。世間様の批判から逃れる先手ばかり打ってないでね。我々は決して手間を惜しみはしませんけれども。