寺井尚子 ブルーノート・ライブ

尚子姐御

 最近作Dream Dancingのナンバーを中心とした全国ライブ、大阪上陸です。行って参りました!
 ひとりで行ったら「テーブル席ご相席でお願いします」「はいはい」とついて行ったら、なんと4人掛け席におばちゃん3人が仲良く座ってる処に割り込まされてしまった。やるなブルーノート。おばちゃん達ごめんよ。ただし。正面最前列である。よっしゃあ!
 開演までにさっさとメシを済ませ、万全で臨む。聞くともなく聞こえてしまうおばちゃん達の会話。「そもそもこの人どこの出身? 音大?」ホウ、さては本来クラッシックの聴き手だな。そんな知識が音楽に何の関係があるか。てなことを思ってるうちにいよいよ時間。まず出て来たサイドの面々は、ドラムスがクールな感じの若い人、それ以外はなんかすごく人の良さそうなおじさま達だ。これがレギュラーバンドだ。そして尚子姫登場。目の前2メートルだぞ! 小柄な、華奢な人だ。でも出て来ただけでやんちゃなのがわかる。
 きっと、どちらかと言うと男っぽいアッケラカンとした人なんだろうな。と言って、決して色気がない訳ではなく、要はねちっとしてないということ。媚がない。
 音楽は、深みがあり、躍動感に溢れている。ずっとステップ踏みながら弾いてたよ。
 選曲は当然アルバムの収録曲中心。このDream Dancingとういうアルバムはとても完成度が高いと思っている。演劇か、映画でも観ているような、流れがあり、展開がある。1曲1曲もすごくいい。さて、目玉のひとつカルメン=「ハバネラ」は、アドリブののっけからいきなりクライマックスのような入り方をする。あとどうするんだと思ったら、嵐みたいになった。これだけで今日来た値打ちはあったと思った。でも舞台はこれからだった。終盤はメンバーの「イッてしまう合戦」みたいになった。僕は口を開けっぱなしだった。でも「マイ・ウェイ」はアルバム同様、アドリブは捨て、あえて音色で勝負。この辺りのメリハリがいい。そしてラストナンバーはチック・コリアのスペイン! やった! と、先に隣のテーブルの姉さんに言われてしまった。これがまた熱狂。一転、アンコールは「星に願いを」。そう、それが聴きたかったんだ。よくわかってらっしゃる!
 ブルーノートのステージは2部制なのでたったの1時間半。でも恍惚の1時間半だった。幸せだった。