コフルから遠く離れて

又八郎の悦楽

 又八郎はコフルとは一度しか会ったことはないが、その後の彼の厳しい苦行については43210を通じて耳にしている。実は自分と違って打たれ強いヤツであることを又八郎は直感的に見て取っていた。「いづれ奴は大物になる。」それが又八郎の見立てであり、願いでもある。
 さてもう少ししたら剣と歌の稽古に戻ることにしよう。とりあえずは映画版「オペラ座の怪人」のファントム役だ。この自分で再撮影してもらわねばならない。
 それにしても、織衛殿もご無体なことを・・・・。ややもするとまた彼のことを考えている。
 新しく得た部屋に佇みつつ、遠くコフルを思う又八郎であった。