本 「High and dry(はつ恋)」よしもとばなな

読後感をまだ書いてなかった。
これは中学生の女の子の初恋の物語で、明らかに子ども向けを意識して書かれたものかな、とも思う。装丁も、いい歳のおっちゃんがちょっと手を伸ばしにくいくらいメルヘンメルヘンしている。上の写真のような見開きページもあったりして、電車の中でも開いててこっぱずかしいんだこれが。
でも読んでみると、描かれているものは深い。こういうのを生徒が読んで楽しんでくれたらいいな、と思う。
登場人物たちは皆個性的だ。にもかかわらず、誰しもが読んでるうちに自分や自分の身近なひとを連想して、共感していくのではなかろうか。女の子のひとり語りであくまで読み口は幼いような気がするかもしれないが、自分が気付かずに過ごしてきてしまったもの、いま初めて気付かされてハッとすること、そういう瞬間に溢れている。
決して外見であなどってはいけない。作者の経歴の中では「ちょっとしたもの」という位置付けに落ち着いていくのかもしれないが、絶対読んで損はない作品だ。