衝動

http://d.hatena.ne.jp/oriemon/20040911#1094840158
自他に対する暴力衝動、というようなものは日常的にある。
道をふさいで停車している自転車乗りを、通りざま蹴倒してやろうか、とか、電車待ちの最前列にあって、ここから飛び降りちゃったらどうしよう、とか。
脈絡もなく思い出したのは高村薫の「照柿」。直木賞受賞「マークスの山」と撮影も完了した筈の話題作「レディ・ジョーカー」に挟まれて、一番地味な合田雄一郎シリーズ第二作。確かに大して社会的でもなく、事件性も盛り上がりもない。だが僕はこの一作を読んで、「ああ、この作者は別に犯罪小説が描きたい訳ではないのだな」と気付いた。そこに気付いてみると、「レディ・ジョーカー」に対する「できそこない」説は一笑にふされる。
あんなに「衝動」をすんなりと納得させてくれた小説というのもそうないんじゃないか。