映画 「溝の中の月」(1982年 フランス)

この目が困る

出たばかりのDVDを買って昨日観た。
原作はアメリカの作家デヴィッド・グーディスの犯罪小説で、舞台は「どこでもない港町」。
主人公は貧しい港町に生まれ育った沖仲士。彼は妹をレイプし自殺に追いやった犯人を突き止めたい。一方で、薄汚い町と今の生活から抜け出したいと思っている。そんな或る日、バーで山の手の金持ち男とその妹に出会う。主人公はその妹に激しく魅かれる・・・・という話。
ジャン=ジャック・ベネックス監督の2作目の映画。デビュー作「ディーバ」は大変な評判だったがこの2作目は完全にコケた(スターを起用したにもかかわらず、に。次の「ベティ・ブルー」で挽回するが)。
全てに大袈裟な演出。大仰な音楽、毒々しい色彩、息苦しいセット、判りにくい展開に、みんなあいまいなまま終わるストーリー。ところがこれらが全部ひっからまって、媚薬のようにクセになる味になってしまった。少なくとも僕にとってはそうだ。
結局犯人はわからない。大方の予想はつくのだけれど。どこかにもう少し確信が持てるヒントがないかな、というのも何度も観たくなる動機なのだが、何といっても一番は、ナスターシャ・キンスキーみたさだ。もう何回もこの日記に書いているけれど。
ナスターシャは「金持ちの妹」の役。主人公にとっては「夢の女」的位置付けなのだが、こりゃとんでもないヤな女でしょう。でも、確実に溺れて行く。主人公も溺れていくし、観ている僕も溺れていく。主人公の死んだ妹の亡霊のような、現実感のない女。それゆえ恐らく彼女の行く末は・・・・と思うのだが、これまた明示はされない。いろんな意味で「モウ、ナントカシテクダサイ!」という映画だ。これもDVDお貸ししますから、誰か観て感想聞かせてくれませんか。
(蛇足ながら、今回発売されたDVDでは、記憶になかったシーンが幾つかあった。何度も観た映画なので忘れていた訳ではない筈。「無修正版」と銘打ってあるので、ボカシが消えただけでなく、カットされていたシーンが入れられたのだろう。ごく短いものばかりだし、物語の大勢には全く影響はないのだけれど。)


関連で、ナタ・キン祭ということで。
http://d.hatena.ne.jp/oriemon/20040611#1086947756
リキコは↑の文章も読んだ上、「キャット・ピープル」の感想文を書くように。メールでの送付も可。なんで「キャット・ピープル」を観たいと思い立ったのか、というトコロも含めてね。