映画 「ワン・フロム・ザ・ハート」

かなり古い映画。そしてマイナー。こいつを今度DVDで出してくれるらしい。(もう出てるかも。)嬉しい! すごく好きな映画。監督はあのフランシス・コッポラ。「地獄の黙示録」や「ゴッドファーザー」のように映画史に燦然と輝くような作品ではない。中年男女の恋物語。地味! 役者もフレデリック・フォレスト、テリー・ガー、ラウル・ジュリアナスターシャ・キンスキー、とこれまた地味。(いやナスターシャは地味じゃない。制作された80年代は彼女の絶世期だ。かわいいくせにエロい。彼女一番の「殺し」の眼、これは『溝の中の月』。ジェラール・ドパルデュー主演のフランス映画。ここで主人公を誘うナスターシャの眼! この眼で視られたら、地獄堕ちがわかってても行くな。おっと熱くなった・・・・。)
しかしこれこそ胸に来る「どこにでもある人間のストーリー」。実はかつて某校で非常勤時代2度の素人・ビデオ映画作り経験の時、脚本担当の僕が本当に書きたかったのがこの作品を翻案したシナリオだったのだ。いや一応ちゃんと書いたのだが、2度ともイニシアティブを握る人物に却下されてしまった。今でも採用されたシナリオの数倍はよくできた作品だと思っているのだが(当たり前か、ちゃんとした映画が原作なのだから)。きっとここを読んでいてくださっている方なら気に入って下さる映画だと思うな。
これを初めて観たのはテレビの吹き替え。吹き替えやカットのせいもあるが、その時母が横にいてやたら作品にケチをつけていたのが何より悪かったと思う、その時は全然いいと思わなかったのだ。ところが数年経ってビデオで観たときに惚れた! ここまで触れてなかったが全編ミュージカル仕立てでその音楽が素晴らしい。僕はこのサントラでトム・ウェイツのファンになった。今でも愛聴盤である。もうひとつのこの映画の魅力は映像。当時の特殊効果の技術を結集したものではなかろうか? 技術的には今見たらチャチなのかもしれないが、要は技術はセンスで活きる。さすがコッポラ、そこんとこは一流である。これを視ていると、実は天下のコッポラは、こういう作品こそ一番好きなのじゃないか? とさえ思えてくる。僕だけかいな?