『ゴーン・ガール』

 昨年末ですが、映画を観、原作を読みました。
 細かいことを言うと、上下巻の原作上巻がほぼ終わり、というあたりで映画鑑賞となったのですが、結果としてこれが一番いい塩梅だったようで。
長い小説を劇場映画にまとめるので省略は避けられず、どうしても映画は展開が早く、ミステリーなどでは「あれあれ?」となりがちですが、前半を原作で読んでいるのでそんなことにはならず、しかも「ねたバレ厳禁」と言われている本作のトンでも決着は知らない状態なので映画での驚愕がこれでもかというほど味わえました。
原作者が脚本も担当していますが、台本執筆は初めてとは思えないくらい、小説と映画の表現の違いを熟知されていたと思います。映画での省略・改変箇所はことごとく「絵」として観るための効果的な改変で、「原作者による脚色映画」は数あれど、そうした面で失敗した例は数知れなくあろうことを思うとこれは稀有なことだったのでは、と思わずにいられません。
例えば、という話がこの作品ではやりにくい! ちょっと書いてしまうともう未見の興を削ぎかねないから。あとは、「読んで。そして見て!」としか言えない。
当然のこととして、人物の真理がこまやかに理解できて味わえるのは小説です。しかし衝撃度、特に終わった瞬間のそれは、映画版は半端ではありません。終盤の感じが原作と映画ではかなり違う(ストーリー自体は相当原作に忠実な映画なのですが)ので両方を鑑賞されるのがベストですが、映画だけでもおつりが来るくらい楽しめます。
劇場公開が済んでから言うなよ、て感じですよね。すんません。文章にまとめる時間が持てなくて。でも、映画ソフトが出たら是非ご覧を。昨年観た映画の中で5本の指に入る、と、個人的に思ってます。