珍しく立て続けに韓国映画

『サスペクト 哀しき容疑者』
 脱北者の元工作員が、要人暗殺現場に居合わせたため追われることになる。一方で彼自身もかつて妻子を殺した元同僚を負う身でもある。そこにアクションが生まれる。これが凄い! 「ああ、こりゃダメだ」という窮境を次々脱していく様はジェイソン・ボーンジェームズ・ボンドか。
 更に謎もいくつもあり、当局が追う死者から託された暗号の正体は? 黒幕は? 娘の生死は? と、気になることだらけ。複雑すぎてついて行ききれないが、テンポがすごいので気にしている間もない。
 何より渋いのは、追われる主人公と追う韓国軍人との関係。過去に因縁があって軍人は執拗に主人公を追いかけ衝突するが、事態が明らかになるにつれ、二人にある感情が芽生え始める。最後はジンと来ます! ただラストは煙草のところまでで充分だった気がするけど。確かにその後で号泣シーンとなる訳だけど…。まあ良しとしよう。

『悪魔は誰だ』
 十五年前の少女誘拐殺人事件が時効を迎えた。残された母の無念。犯人を逮捕できなかった刑事の無念。ところが時効を迎えるや否や、再びそっくりな手口の誘拐事件が発生。またも翻弄される刑事。
 「この結末は誰にも予測できない」とのコピーに偽りなく、ネタバレ厳禁の作品ゆえあまり突っ込んで語れない。ただ言えるのは「否定しきれない。俺はわかる」という気持ち。
 綿密な構成。丁寧な描写。ミスリードを誘う巧妙な編集。驚愕の結末。でもストーリーだけの作品ではなく、深く考えさせるテーマを孕んでいる。放題も秀逸。

 韓国映画って、感情が激しく揺さぶられる。ときに過剰さに抵抗感を感じることもあるが、たまたま今回続けて観たこの二作、何れも忘れられない作品になったと思う。

https://www.youtube.com/watch?v=zlNr0aoPVeU
https://www.youtube.com/watch?v=ogSeFC3WKLo