ピクニックatハンギングロック

 今日は絶対メイン・モルトさんに行こうと思ってたのに、雨に阻まれました。
 で、順番待ちしてた映画を観たのですがそれが『ピクニックatハンギングロック』。
 記念碑的な映画が何本かありまして、まず映画館で体感する大迫力を知った『スター・ウォーズ』。これが小学4、5年の頃。次に音楽も含めためくるめく映像表現に幻惑されたのが『ブレードランナー』。高校卒業間際で、同時に名画座の味も覚えた。
 そして、観終わった瞬間「え。なにそれ」と狐につままれたような感じになったのが、この『ピクニックatハンギングロック』。大学入った頃のこと。
 「そんなんアリかい!」と思ったのだけど、観終わって帰る道すがらからじわじわじわじわ内面に深まって行って、「わからんけど、なんか凄い!」となるんです。以後、このわからんけど凄いという映画を渇望するようになります。

 1900年のオーストラリア。岩山で三人の女学生と教師ひとりが忽然と消えてしまう。結局どうなったのかはわからないままに映画は終わります。だから「そんなんアリかよ」となった訳ですが。
 前半は絵画のような美しさで、美少女たちが消えてしまうまでを幻想的と言っていいくらい美しく描きます。後半は一転、事件が現実にもたらす影響を冷徹に描く。残された人々がそれぞれに崩壊していく。
 実際の事件を映画化したと言われてましたが、今ではそれは嘘、というのが定説のよう。劇中にも「フィクションです」と出る。ただ、原作小説の作者や映画監督が意味深な発言をしていて、作り話なのか、公表されなかった実在事件なのかはわかりません。ただ、どっちでもいいです。作品の良しあしには関係ない。
 監督のピーター・ウィアーはその後ハリウッドに進出しねそれからの作品もすごく好きなのだけど、この地味なオーストラリア映画が僕の胸中にずっと根を下ろしてる。今回ブルーレイでリリースされて本当に良かった。どこまでも美しく、どこまでも引きずり込んでくれる映画です。