トマーティン・セミナー

 スコッチのシングルモルト「トマーティン」のセミナーに行って来ました。これまでは主に「お店関係」バーテンダーさんなどを対象にされていたのが、去年からはお客さんを対象にするようになったのだということで、バー・オーガスタさんで紹介していただいて行くことができました。
 トマーティンには正直これまであまり縁はなかった。「手堅くおいしい」というくらいのイメージでした。一時はスコットランドでも最大級の蒸留所だったそうですが、一度傾いて、その後ブレンド用原酒の供給メインからシングルモルト勝負の路線へとシフトしていったようです。日本の大黒正宗などもそうですが、こういった道を経ていいお酒を造るようになったという話は時折聞きます。
 供されたのは、「ニューメイクスピリッツ」、「12年」、「15年」、「18年」、そして日本限定の「30年」。
 ニュースピリッツは度数70度あるそうで、さすがにそのアルコール度で「キツい」ですが、少し加水すると甘み、草っぽさ、麦の風味が感じられます。この後新たにテイスティングする度これに戻ってくるとそれぞれ納得できる味覚があって面白いですね。
 12年は「ああ、こんな感じだな」という、バランスの良いモルトだと思います。基本的には好きなタイプ。フルーティさが感じられます。
 15年を飲んで、「あ、これいい」と感じました。全然タイプが違い、それはシェリー樽熟成の原酒をこれだけは一切使用していないからということですが、フルーティさはこれが一番で、それで「いいな」と思ったのでしょう。加水すると後口にかすかにスモーキーさも。
 18年に来るとまた「あ、いい!」 さっきは15年を後で「あれが一番好みでしたね」と言うつもりだったのに(誰に?)、これを頂くと思わず目元が綻んでしまった。作りとしては先ほどの15年を更にオロロソシェリーの樽に移し替えて熟成されるのだとのこと。これによって厚み甘み(トロみ?)が加わるのだから面白いですね! アフターも長い。これが25年になるとどうなるんだ、という興味は、残念ながらこの席には25年ものはないため妄想あるのみ、となりました。
 そして。お楽しみの30年! 蒸留所の方々も出荷以来のテイスティングで楽しみにしていたとのこと。バニラっぽい甘みからオレンジやスパイシーな風味も出て、最後はチョコレート。これは旨い! フルーティなタイプというより上質なリキュールのように、とにかく甘い。この甘さはなかなか他では味わえないタイプの旨みですね。これをバーでじっくり味わってみたい! さすがテイスティングの最後を飾るにふさわしい、貫録のモルトでした。
 これからもっとトマーティンに注目したい、と、シッカリ思惑にはまることになりました。いいじゃないですか。ねえ。