負の連鎖

 『トゥルー・グリット』はいい映画だった。「いい映画だった」と言うその魅力はいくらもあるけれど、例えば同じ原作を映画化した旧作『勇気ある追跡』が良くも悪くも徹頭徹尾「ジョン・ウェイン映画」であったのに対し、苦いまでにリアリティのある作品であった、とか。
 旧作との最も際立った違いはラストであり、それはヒロインの身に生じたことを明確に描くことで、力による制裁、私刑が、結局大きな痛手をわが身に負うものであるということを表現した点にある。それを承知で真正面から受け取っている凛とした立ち姿がまた感動的であるのだけれど・・・・。
 かのテロリズムの首領を殺害したいと願わずにいられない思いというのは、身近い人を被害者とした個々人としては当然の気持ちだと思う。が、国家がそれを断行し良しとするにはどうあっても首肯しかねる。しかも、彼を殺してそれが「エンド」になると本気で思ってるのか? とも思う。

 負の連鎖は延々続く。しかもその輪は大きくなるばかり。旧き佳き?西部開拓時代から一歩も出ない国と同盟国であるこの国の取るべきスタンスは?