ギムレットの味

 『ロング・グッドバイ』を読んで珍しくカクテルを飲む気になって、オーガスタ、オークス・ドラム、ハーバー・インといったバーで作っていただいて飲んだ。作り手によって全然味わいが違う、という面白さがカクテルにはあるということを改めて実感した。
 オーガスタのギムレットは以前にも書いたけれど少し甘め。オークス・ドラムはカクテル全般がオールド・ファッションドで、ギムレットは思いっきり鋭い。ハーバー・インのギムレットは、中で一番ライムの柑橘感が強くフレッシュ。マスターの言によると小説『ロング・グッドバイ』のオリジナルレシピであるローズ社のライムジュースとジンだけのギムレットもとても美味しい、とのこと。確かに甘いのだけどべとつく甘さではなく、このレシピでのギムレットにこだわったバーもあるのだとか。一度味わってみたいもの。
 カクテルにこそ、マスターの思想がわかりやすく顕われるのだろう。バーでは基本シングルモルト好きだが、ちょっとこの世界にも興味が。若い頃ならいざ知らずこの歳になるとカクテルというのも若干気恥ずかしさが伴うけれど、別にカッコで飲んでる訳でなし。もっと楽しもう。