森毅氏亡くなる

 好きだったんだけどなあ。
 僕の授業を受けた人の中には、氏の「違う意見がよい」を読んだ人も多いはず。以下抜粋。

 他人の意見が自分と合うとうれしくなったりする。しかしそれは、自分の意見が確かめられたと安心するぐらいで、その意見が深められることもないから、本当はつまらないことだ。
 それよりは、他人の違う意見がよい。仮にその意見が間違っていても、そうした意見を持つ根拠があるわけで、その根拠は考えるに値する。そのために自分の意見を変えるまでしなくとも、今まで気づかなかった、自分の意見の弱いところが見えてきたりして、自分の意見が深くなる。相手のほうが説得性のある意見なら、こだわらずにその意見に同調してもよい。その場合も、最初からその意見であるより、それ以前は別のことを考えていただけ、考えに深みができる。(中略)
 同じ意見だと安心し合ってかたまっては、つまらない。まして、違う意見の人をばかにするのはもったいない。仮に、その相手が「だめな相手」に見えても、自分と違う意見を持っているだけでも、自分の役に立つ。(中略)
 「心を一つにして。」なんて、ちょっともいいことと思わぬ。「意思統一」なんてのは、よっぽどせっぱつまった時でない限り、する必要はない。意見がばらばら、というのはとてもいいことだ。
 もちろん、みんなが自分の意見の中に閉じこもったり、同じ意見ごとにかたまったのでは、せっかくばらばらになった値打ちがない。ばらばらのままで交わらなくては、役に立たない。(引用、以上)