映画『運命のボタン』と原作小説

 小説の映画化っていうのは、こういうのが面白いなと思う。
 もちろん、映画自体の評価は大きくわかれるだろうが、それで全然構わないだろう。
 リチャード・マシスンの大変短い原作小説『button,button』は、シャープで皮肉の利いた作品である。映画化された『運命のボタン』は、比較することもできないくらい別物になっている。しかしテーマ的にはつながっている部分もあると思う。『ドニー・ダーコ』で物議を醸したリチャード・ケリー監督の作品である。たぶん一度観ただけではよくわかっていないだろう。矛盾やツッコミ処も多々ありそうだが、不安を煽る雰囲気といい、いろいろと考え込ませる思わせぶりなディティールといい、何度もみなおしたくなる。
 それにしても、原作にせよ映画にせよ、女と男とは違うんだなあ、とつくづく思わされる。どちらがいい、悪いではなく。

 ボタンひとつ押すことでどこかで人が死に、大金が入る。そんなボタン、自分は絶対に押す訳がないと思う。迷うところがわからない、と。しかし、そう言いながら、実際のところどうなのだろう? 人間とは、かくも弱い、罪深い存在なのだろうか?