宮城峡

 ニッカの余市20歳シリーズは昨年末の1988で5代目でしたが、満を持してついに宮城峡も1988〜2008が出ました。予想通り、いや期待通りの味わい。フルーティで甘やか、これぞ宮城峡という味わいでした。
 ニッカはやっぱり凄いです。無論先達であるサントリーの底力は凄いのですが、もともと「より本格的なものを」という希求のもとサントリーから袂を分けた創始者竹鶴氏の思想が、今のニッカにも生きていると思います。そのニッカではやはり余市モルトこそが代表格と言えるのでしょうが、あの力強いモルトと全く違う、フルーティな宮城峡が僕は好きです。今回の1988は、その味わいの集大成と言っていいと思います。無論、通常ラインの10年、12年、15年だって充分おいしいです。更に言うと熟成年数を謳わない500ミリサイズのあの安価な宮城峡だって普段呑みには充分な仕上がりで、びっくりします。(ですから、りゅう3くん、もしウイスキーに興味持たれたならまずこの500ミリサイズの余市と宮城峡をお買いなさい。2本買ったって三千円。充分味わえて、しかも蒸留所による味の違いも実感できる。それで更に興味をそそられれば、次はちょっといいヤツに行きましょう。最初に上質を経験しておくことが大切ですから。)
 実はそれとは別に、ニッカではオンライン限定販売で余市、宮城峡ともビンテージを明記したシングルカスクを販売しています。https://www.asahishop.net/02/list.psp.html?CATEGORY_ID=02001これがいい。ウチには1990〜2008があって、これが1988に通じる典型的な宮城峡らしさを表現していて大変いいです。過日同じ宮城峡シングルカスク1986〜2008を飲む機会がありました。びっくりしました。すごくスモーキーなんです。含んだ瞬間にはまず甘みに当たるのだけど、次の瞬間に強烈な煙さが広がるんです。スモーキーな宮城峡。好みで言えばあくまで甘くフルーティな1990を支持しますけれど、これも勿論アリです。この懐の広さが、また「ニッカの凄さ」と言えます。共にイギリス発の雑誌「ウイスキー・マガジン」日本版で高く評価されており、世界の高いレベルで勝負していることを感じさせてくれるんです。

シングルカスク1986と20歳の1988

シングルモルト宮城峡とシングルカスク1990