ルネッサ〜ンス

アードベッグ整列

 いえ、あの面白い人たちの話ではないんです。ごめんなさい。
 アードベッグが出した新しい10年ものがルネッサンスという命名です。「復興」という意味ですね。アードベッグは一旦操業が止まりましたが、現オーナーになってから新たに蒸留したモルトを、現行スタンダードの10年熟成に至るまで毎年若いモルトを出して来ましたが、それがとうとう10年に追いついた、ここに「復興」を果した、という訳です。今出回っている10年は以前蒸留したストックですから、当然同じ10年でも味は違うはず。ということで飲み比べです。ウチには現行10年とこのルネッサンス、他にウーガダールとボトラーズものでウイスキー・エクスチェンジの6年と(ミニチュアですが)ゴードン&マクファイルの1993年のがありますんで並べてみました。
 ウーガダールは古いモルトブレンドしてあるのでさすがに味がまろやかです。好きですね。でやっぱりボトラーズものはかなり風味が違います。ウイスキー・エクスチェンジはなんでこんなに上手いんでしょうね、6年とは思えない落ち着きです。肝心の10年もの対決では、新しいルネッサンスは度数が高いこともありましょうが濃醇に感じます。それだけでなくクリアですか。
 この特徴がよりハッキリさせられたのは、bar婆沙羅にてマスターの「素直なスモーキーさ」という言葉を聞いて納得した瞬間でした。こちらではルネッサンスと1990を比べ飲みさせてもらったのですが、香りからして全然違うと感じました。1990はいわゆる潮の香りが強烈なんです。これぞアードベッグらしさと言いましょうか、アイラモルトらしさと言いましょうか。対してルネッサンスはそういう「癖」が抑えられて、つまりピーティさは抑えられつつしっかりとスモーキーではある、というものです。つまりバランスが良い。これを「素直なスモーキーさ」とはまさしく言いえて妙。さすがプロです。
 個人的にはなかなか好きですね。この味。それからこの薀蓄はまたまたbar婆沙羅のマスターに依るのですが、アードベッグでは新オーナーになつて最初の蒸留は旧来の設備を使って行ったそうなのですが、それ以後はポットスチルも新しくして蒸留しているそうです。つまりルネッサンスのこの樽以降の10年は当然また味が違うということです。そういう意味でもこの1本、なかなか貴重かもしれません。
 以上、アードベッグ飲み比べレポートでした。あ、あくまで味音痴のこの僕の主観です。全く見当違いなことばっか書いてるかもしれません。是非直接ご自身の舌で味わってみて下さい。