日本酒はワンパターンか(酒噺④)

②で触れました開高が語る日本酒。実はいい言われ方はされてません。曰く、全て越乃寒梅の亜流である、と。書かれた時期を考えると、もしかするとそういう見方もあったのかな、とは思います。かつてのあの地酒ブームというのは他でもない、越乃寒梅が火付け役だった訳です。たいてい「ブーム」なんてのになると、便乗商品が幅を利かせてかえって評判を落とす、ということになりがちです。
ただ、今はまた状況が違うとも思います。いろんなところでちらほらと言われていることですけれど、もしかしたら今が一番日本酒が美味しくいただける時代なのかもしれない。本当にいいものを、という志の蔵は増えているのではないでしょうか。過日コメントを下さった山本さんの仰っていた通り、酒は農産物とも言えるので風土や季節に大変左右されやすい。蒸留酒より醸造酒の方が、その辺り顕著に出るでしょう。また四季のある土地で生まれた酒ほどそうでしょう。そういう意味で、やはり日本酒はワインと似たところがあると思います。
まあ実は開高氏の文章のおしまいには、日本酒の世界の変化を予感している一節があるのです。たまには原文を引用してみましょう。
「で、造り酒屋でご馳走になっていると、主人が蔵の隅っこのほうから薄ら笑いをしながら出してくる酒に気づくようになった。その酒屋その酒屋、ご先祖様の筆法のとおり、まっとうにつくった日本酒をいくらか別にとっておき、まっとうに暗くて冷たいところでカメに密封して寝かせてあるんだ。(中略)実際、これはすばらしい。ちいっと冷やして飲むと、じつにいい。(中略)その酒屋独自の味をもったオールドがやがて世の中に出てくるんではないか。(中略)日本酒のオールドは、ホント、いいぞ。日本民族であることに、誇りを覚えたくなるほどだ。」引用以上。
何年も寝かせた古酒のことを言っているのだけれど、要するに「蔵本来の昔ながらの造り」これに忠実に造った日本酒は旨いんだ、と言っているようにも見える。正に今はその時なのじゃないでしょうか?
なかなか山本酒店に行けずにいるのですが、過日ビールを買いに近所の量販店に行ったら「真澄」が置いてあって喜んで買いました。そいつももうあとちょびっとなのですが。蕎麦打ち松林で飲めなくなってしまった真澄。僕はこいつが好きです。
やっぱり日本酒っていいよな。ああ大黒正宗が飲みたい。(コレが最高。http://ameblo.jp/sake-yamamoto/entry-10014750646.html