食 そば打ち・松林

菊姫の会、利き酒

味オンチの僕が「食」なんてカテゴリーでものを書くなんておこがましいのだけど。麺喰い同盟のミッション・レポートである。
贔屓の蕎麦屋松林で第12回蕎麦と地酒の会であった。昨夜の話。
べス殿に情報をもらって通いだしてからまだ1年にならないが、いわゆる「常連」の末席を汚させていただけるようになったそもそものきっかけが、この地酒の会への参加であった。ここはお酒も大切にしている店で、全国的な3つの蔵と付き合いがあり、これを招いて年3回地酒の会を催す。休みにしている土日夜に常連貸切にする。今回は石川の銘酒「菊姫」。菊姫といえば辛口淡麗。日本酒は甘口で華やかな香りのものが好きなので(通からは嘲笑われる好みじゃ)、その好みからは対極にある。が、ものすごくイイ酒であるのは先刻承知。楽しみにしていた。今回も、他で絶対飲めないような貴重な代物をいっぱい用意して下さった。最初の2本なんてラベルも貼ってなかったもんな。最高級の大吟醸から10年寝かせた酒まで、それはもう豪華豪華! しかもこころ憎い飲ませ方をしてくれる。山廃でもそのままとった「荒ばしり」と「吟醸」、また同じ仕込・造りでも酒米の違う2本(共に名高い山田錦と百万石)、大吟でも2年熟成と10年熟成、同じ酒でも冷と燗・・・・。1本1万を越える特別なものでこういうことをやってくれる。更にいわゆる「日本酒度」というのがいかに味わいと無関係であるかの証明、と称しての利き酒大会。みんながやるわけにいかないので6人だけ、というのでくじ引きになったのに、誰が辞退したのか1枠余って、しかも松林主人何を勘違いしているのか「じゃあお前だ」と僕を指名。わかるわけがない、この味オンチに。でもまあ飲めるからいいか! 当然結果は大ハズレでしたが。まあ、これ以上ないというくらい酒で遊ばせていただいた。勿論食べる方も松林であるから堪らない。先に出た椀蕎麦は二八ながらよく締まっている。お馴染み蕎麦味噌、蕎麦豆腐、ラストは言わずと知れた十割のザル。十割というのは、つなぎを一切使わないそば粉だけの蕎麦。もちろんつながりにくいので短めの麺だが、信じられない細さ、腰である。おかげで蕎麦を食べるのが下手くそな僕でも、通のようにせいろをキレイにいただける。「今日のは気合はいってっからな」と言う親父の言葉に違わぬキレのいい蕎麦! ちなみにこの方本場信州の方なので言葉が東ことばです。
お蕎麦がきらいでなければ、梅田に出た際にはぜひお立ち寄りになるべき。梅田センタービル地下にあります。松林。最近情報誌やテレビでも紹介されたのでご存知の方もあるかも。平日は昼11:00〜3:00、夜18:00〜22:00頃まで。土日は夜はお休み。焼酎も揃ってます。あ、ただしお昼は別室で蕎麦打ちされてることが多く、このおちゃめなご主人と語らうなら断然夜がいいです。ぜひカウンターにお座り下さい。
昨夜は、初めてお会いした両隣の方との会話も楽しかった。こんな初対面の方との触れ合いもこういう店ならでは。引っ込みの僕のようなキャラも当たり前のように仲間に入れてくれる。特に異業種の方との喋りは楽しい。おひとりは大阪大学付属病院に勤める若きエリート内科医。3月にはアメリカに留学されるとのことで、この和食の贅沢がいい土産になったと。とても患者さん思いの熱心な方で、人を相手にした職業という点、つながるモノがありますよねえ、と仰ってくれた。反対隣の方は物理の先生、でありながら今は科学館にお勤め(どういうことなんかようわからん)。僕が国語の教員と知るや、「国語の先生には言いたいことがある」とふっかけて来られた。これはまた場を改めて書きます。これはこれで独立した面白い話だ。芥川賞のことなんだけど。
ああ、調子に乗って書きすぎた。あんまり長いと読む方がしんどいのに。これでも語り尽くせませんが、明日は入試でもあり、タイトルで宣言したごとく、明日に備えて今日ははやく寝る!